【実話】「マネー・ショート」バブル崩壊と世紀の空売りを解説

マネー・ショート
映画/ドラマ
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映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転」

原作は、「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」ノンフィクションです。リーマンショックで経済が破綻した時代、この経済の破綻を予見し、「空売り」を行った男たちがいた。その実話を映画化したものです。制作にブラッド・ピット、監督にアダム・マッケイ。 キャストは、クリスチャン・ベール、ライアン・ゴズリング、スティーブ・カレル、ブラッド・ピットです。  

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不動産と金融期間の歴史・バブル期

人々に土地の所有権が与えられると、不動産は金融商品となり、銀行は不動産を担保に融資をしてきました。企業は土地を買い、不動産を担保に銀行から資金を調達し、設備投資を行い、不動産価格は上がり続けました。1989 年 12 月、日経平均株価は最高値 38,915 円を付け、不動産価格もピークとなりました。 1991年には、このバブルも弾けてしまうのです。

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サブプライム問題とは

サブプライムローン

サブプライム層とは、「優良客=プライム層」よりも下位の層、収入が少なく、ローンを返済していくことに対して信用に欠ける人の層です。サブプライムローンとは、収入が低い人や、延滞などがあり信用度が低い人たち向けに、審査基準を甘く設定する代わりに、高金利で貸すローンです。

サブプライムローンは、サブプライム層向けとして位置付けられるローン商品をいう。通常の住宅ローンの審査には通らないような信用情報の低い人向けのローンである。

アメリカの住宅バブル

2000年初頭、アメリカでは住宅バブルとなり、所得の低い人たちもサブプライムローンで融資を受け、土地や家を買いました。ローンは殆ど無審査で貸付られていたようです。当初から貸し手側は返済不能に陥ることは予測していましたが、担保の住宅を転売することで債権を回収するつもりだったのです。 その後、住宅バブルは崩壊し、ローンの滞納額が増し、サブプライム問題やリーマンショックへと繋がっていきます。

サブプライム・モーゲージ

アメリカでは、住宅ローンの証券化が普及しています。証券化することによって資産が抱えるリスク(不良債権となるリスク)を保有することなく、投資家に一部移転することができるという利点があります。 住宅の値段が上昇し続けるという考えのもと、サブプライム・ローンは過剰に供給されていました。

米国の住宅の安定供給を目的として設立された、連邦住宅抵当公庫や連邦住宅金融抵当公庫などが、モーゲージ・バンクからサブプライム・ローンの債権をまとめて購入して証券化し、MBSという担保証券の中で比較的リスクの高いサブプライム・モーゲージとして市場に供給した。

※MBS(不動産担保証券)は住宅ローンの債権が証券化されたもの ※CDO(債務担保証券)は、MBSなど様々な債権を混ぜ合わせて証券化したもの つまり、投資銀行がローン会社から住宅ローンの債権を購入し、債券をMBSやCDOという商品にして、投資家に販売したのです。これによって、サブプライム・モーゲージを保有していた金融機関や投資ファンド、政府系企業等は多額の損失を被ることとなります。 CDOに関しては、映画の中で「CDOはな、シチューと一緒なんだ。腐った魚や野菜も、シチューに入れて煮込んじゃえば誰も分かんないだろ」と説明しています。

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空売りで利益を得る手段

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)

この映画の中では「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引で、ウォール街を出し抜く計画を立てます。

定期的な一定金額の支払と引替えに、特定の企業に関して一定の信用事由として規定された事由の発生があったときに一定の方法による決済を行うことを約束するもの。

信用事由とは、支払不履行・条件変更・倒産など対象となる債務の履行に関して支障を きたす恐れのある行為や問題のこと つまり、クレジット・デフォルト・スワップは定期的な一定額を支払えば、ある企業が倒産した時に支払われるという保険金です。

空売り

株の空売りで考えてみると、値下がりしそうな株(A社の株)を、A社から株を借りて売ります。そして、値下がりしたところで、株を買いA社に株を返します。高値の時に売った金額と安値の時に買った金額との差額が儲けとなります。

空売り
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金融トレーダー、マイケルが利益を得た方法

マイケルは、住宅バブルが崩壊することを予見し、CDSという金融商品を作りました。つまり、バブル崩壊に賭けて保険金で利益を得る方法を考えます。マイケルは証券会社にこの保険を提案し、多額の保険金を支払います。当時、住宅市場が下がるとは思っていなかった証券会社の人々はこの提案を了承し、さらにマイケルを笑い者にします。 格付け会社はCDOに最高評価であるAAAを付けていました。腐った魚や野菜で煮込んだようなCDOを作った証券会社などは、当然住宅価格は上昇し続けると思っていますし、そうでなければなりませんでした。 そして、その時が来ます。住宅バブルの崩壊。